サーバの設置場所はどこがいいか
今月分の@IT連載記事が掲載されました。タイトルは「サーバの設置場所はどこがいいか」です。
【言ってみるだけなら無料】
とは言えiDC移転はかなりしんどいのであまり考えたくないのはよくわかります。しかしiDC移転を検討するということは必ずしもiDC移転しなければならないということではありません。今利用しているiDCの契約が他のiDCと比べてどうなのか比較することにまずは意味があります。その結果あまりにも最近の価格相場と乖離しているのであれば現在利用しているiDCの値下げ交渉ができますし、機能やサービス的に劣っているのであれば交渉してそれらを追加してもらうことができます。重要なことは、適切な情報を仕入れ、まずは現在利用しているiDCに言ってみることだと思います。言うのは無料です。iDCとしては当然顧客離れは嫌なのである程度柔軟に聞いてもらえるはずです。私自身も現在利用しているiDCには当時いろいろな改善要求を出していたものです。やれセキュリティ強化してくれ、駐車場つくってくれ、入場が不便だ、椅子くれ、等々。
(注記: クラウド登場前に書いた記事の焼き直しなので、現代はクラウドへの移行という選択肢もあります)
倉庫に備品となりそうなものを押し込んで撤収ということになると思います。しかしこの結末は皆さんのご想像の通り、「いつかきちんと仕分けしよう」としていたものは決して仕分けされることはないし、本来保存が必要であった備品が既にゴミと間違えて捨ててしまっているものも多数ある状態となっています。こうなると既に手遅れです。
【備品をどのように管理すべきか】
例えばこんな感じです。
・各種ケーブル・・・長さ別(1m,3m,5m等)に箱分けする。
・電源ケーブル・・・ダンボールに入れる。
・インストールCD・・・機種別にファイリングする。同じものが多数あったら廃棄。
・マニュアル・・・機種別にファイリングする。同じものが多数あったら廃棄。電子化して全て廃棄するのもあり。
・ラックマウントキット・・・サーバの種類別に束ねる。ラックマウントキット自体に油性ペンで機種名を書いておくのがお勧め。
・ねじ・・・種類別に束ねる。
・予備パーツ・・・種類別に整理し、在庫数をWEBなどで閲覧できるようにする。
・工具や文具・・・所定位置にまとめる。各々には持ち主の社名を明記する。
今日はリモートKVMスイッチについてです。
【リモートKVMスイッチの選定ポイント】
・リモート操作するコンピュータのコンソールはWEBブラウザ上で使うか専用ソフトウェア上で使うか。
WEBブラウザのほうが便利なことが多いですが、Java appletやFlashなどを使うタイプのものだと、最近のWEBブラウザではそれらが動かせなくなってきているのでむしろ不便かもしれません。(私はFireFox+IEアドオンで使うことが多いです)
・ずれないマウス。
コンソール上のマウスカーソルと、コンソール内のOSのマウスカーソルが一致しなくていらいらするリモートKVMスイッチが多いです。Windowsが多い環境であればずれないマウス機能は絶対あったほうが良いです。2016年現在では、Raritan社のDominionシリーズが特におすすめです。
・同時接続数
あまり使われないと思って同時接続数1で買ってみたら、意外と同時接続したいというニーズが出たりします。
現在利用しているデータセンターは3箇所目になるのですが、毎回データセンター選びにはとても苦労しました。そこでこれまでの経験を踏まえて、ここでは僕的なデータセンター選びのポイントを書いてみたいと思います。
【ポイント】
まずあなたがデータセンターに何を望むかはっきりさせることが重要です。僕が重要だと思うポイントとしては次のようなものがあります。
・データセンターの所在地
→言うまでもなく事務所から近いほうが有利です。ただし地震等自然災害に強いのは必須です。
・入館セキュリティーの厳しさ
→強ければ安心なのですが、頻繁に現地で作業するのであればむしろ入館セキュリティーは弱いほうが使いやすいです。(←かなり重要。以前使っていた某大企業系データセンターはセキュリティが厳しすぎて現地作業するのが億劫で・・・)
・ラックは持込みか、貸し出しか
→ラックマウントサーバの場合、ラックマウントキットとラックに相性があるので、もし備え付けのラックとラックマウントキットが合わないと棚板を使うこととなり、スペースがもったいないです。また備え付けのラックが空気循環が悪いタイプだとたくさんサーバを詰め込めないので、そういう場合はラック持込みがおすすめです。
・温度管理
→温度がSLAで決められているか。サーバはかなりの熱を排出するので温度管理は重要です。
・備品貸し出しの柔軟性
→工具、イス、机、キーボード、温度計、LANケーブル、シリアルケーブル等現地作業ではいろいろ必要になりますが、そういったものを柔軟に貸してくれるところは大変使い勝手がよいです。(うちが使っているデータセンターは係の人と顔見知りなので何でも貸してくれてとても助かっています。以前使っていた某大企業系データセンターは何も貸してくれなかったからなぁ。。。)
・廃棄ゴミの処理方法
→廃棄ゴミ処理は意外と重要です。頻繁に発生するダンボール等のゴミが現地で処理できないとかなり大変なことになります。(以前サーバ100台箱出ししたことがありますが、2トントラック2台分のゴミが出ました。あのときはしんどかった・・・)
・重加重機器への対応
→ハイエンド機器になると数トンという重さになることがざらです。それに対応しているかどうか。
・様々な電源への対応
→100V,200V両電源に対応しているか。またハイエンド機器になると電源プラグが特殊な形状だったりすることがざらで、それに対応しているかどうか。
・搬入スペースや駐車場の有無
→これも意外と重要で、サーバ搬入時、搬入スペースや駐車場がないとかなり悲惨なことになります。特に数トンクラスの機器の場合はそれらがないと悲劇です。
・MSP(マネジメント・サービス・プロバイダ)サービスの有無
→トラブル発生時、電話をかければ電源on/offしてくれるリモートハンドサービス程度から、常時モニタリングしてくれていてトラブル発生時は勝手に操作マニュアルを見ながらコマンド操作してくれるところまで行ってくれるようなサービスが必要か。
・空きラックスペース量
→サイトの伸びが急激でラックやスペースの利用が急増しそうなのであれば、残ラックスペースは重要です。
・常駐スペースの有無
→社員がデータセンターに常駐する場合は常駐スペースを借りられることができるか。
・ケージの有無
→ケージ(柵ですね)を設置できるか。
・ネットワーク回線のコネクティビティー
→IX直結か、大手ISPとのトランジットを豊富に持っている業者であるとよいです(通信系の業者が運営しているデータセンターだと安心ですが、中小のデータセンターだとこのあたりが心配です)。もしくはキャリアフリーを謳っていて外部回線を引き込めるデータセンターもあります。
・UPSや発電機の有無
→停電時どの程度耐えられるのか。ここで注意なのはいくら発電機が完備されていたとしても災害で道路が封鎖されてしまったしたらガソリン等燃料を給油できないのでUPSがあることも重要です。
・火災発生時の消火方法が水かガスか
→水だと機械が死にます。ガスだと人が死にます。そんなわけで個人的には水がお勧めです(?!)。
・イレギュラーな要望に強い
→サイトが大きくなってくると様々な要望が生まれてきますが、それらのイレギュラーな要望に相談に応じてくれる親切なデータセンターがよいです。(今使っているところは大変助かってます)
・そして価格
→データセンターの価格はぴんからきりまでなので、「品質より価格」でいくのか「価格より品質」でいくのか決める必要があります。ただしかなりまとまったオーダーをすれば「品質と価格」の両立は可能ですがこればっかりは会社規模に拠りますね。(価格に関する一つの目安の数値があるのですが、さすがに公にはできません。興味がありましたら私に直接聞いてください)
【結論】
僕は最初、データセンターは極端な話し場所とネットワークさえ提供されるのであれば安ければ安いほどよいと思っていました。この考えはサーバを一度取り付けてしまえばあとはサーバ増加がほとんどないサイトの場合はたしかにその通りなのですが、頻繁にサーバ増強のために現地作業が必要なのだとしたら僕の最初の考えは間違いで、極力上記のポイントを押さえたデータセンター選びをするのがとても重要だと思いました。
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